第16区 クレムス〜ウィーン
    オーストリアドナウ河畔の一人旅 横山 泰一(13期)


1999年4月30日〜5月4日
日程
4月30日 クレムス〜デュルンシュタイン経由ホーレンブルグ
5月1日  ホーレンブルグ〜ツウェンテンドルフ
5月2日  ツウェンテンドルフ〜トゥルン
5月3日  トゥルン〜キールリング
5月4日  キールリング〜ウィーン

4月29日 晴れ
 出張先のベルン(スイス)からウィーンへ、さらに列車でクレムスへ到着。市内は中世 の面影が残る美しい街並み。城壁とザンクトファイト教会等を見て廻った。


4月30日(金)曇り後晴れ
すこし寄り道してバッハウ渓谷を覗くことにし、ドナウ河の岸辺をデュルンシュタインへ 向かう。途中の小さな村からはブドウ畑の中の村道を歩く。葡萄畑のたんぽぽが満開 で美しい。
デュルンシュタインは、城壁に囲まれた小さな町。城門をくぐると教会の塔が高くそび え、街並みが美しい。ちょっとした山登りで山頂の城塞遺跡(クエンリンガー城址)へ。 道の周辺はお花畑が目を楽しませてくれる。頭上からは町とドナウ河の眺めがすばら しい。再び町へもどり店先に小さなテーブルを置いた酒屋でワインを立ち飲み。ワイン が250mlで200円程度と安い。
もう少し町を歩き、ワインを飲みたい衝動をこらえ、クレムス方向へ戻り、ステインから ドナウの右岸へ渡る。対岸にクレムスの町を見ながら快適に歩く。川沿いのサイクリン グ道路はきれいに整備されており、所々にベンチがあるだけで自然が保たれている。
サイクリングの他、ローラースケートをする人もいて、どんどん私を追い越して行く。天 気は快晴で、暑い。
 そろそろ限界を感じてきたが集落がない。ひたすら我慢して歩く。ホーレンブルグの 河岸にあるレストハウスで一休み。さすがに疲れ、喉がからから。ビールが旨い。ここか らクレムスへ戻るため、バスの時間と停留所を教えてもらい重い足をひきずってバス停 へ。しかしバスが来ない。30分待って、もう一度レストハウスに戻り、飲み直す。店の主 人にユーラシアを歩く会を説明、サインしてもらった。周りの人も興味を持って集まって 来た。サイクリストの他、仕事の帰りに立ち寄って飲んでいる人々であった。ユーラシア を歩く会を肴に、宴会となってしまった。どうも家族を置き去りにして、仕事もしないで、 遊び歩いている金持ちと思われたようだ。金がないから歩いていること、5月はゴール デンウイークで休みが多いこと等を説明しなければならなかったが、理解してもらえたか? この町に泊まれとも言われた。とても、親切な、気持ちの良い人たちであった。
18:25のバスでクレムスへ。今度はバスが時間通り来た。19時ドナウホテル着。
歩行距離 30Km 歩行時間6時間


5月1日(土)晴れ
 バスで昨日の終着地点ホーレンブルグへ。ドナウ川を少し離れ、田舎道を歩いてトラ イスマウアーへ到着。途中、突然、対向車からクラクション、昨日の宴会に参加してい た人の一人だった。トライスマウアーも城門のある古い町である。休日のせいか街はひ っそりとし、ゴーストタウンのようであった。 ここからはドナウ河畔を行く。 ドナウに流れ込む川のため、かなりの距離を迂回することになった。たかが10メートル位の川幅 なので歩行者用の橋が欲しかった。
 午後4時、足の裏がいたい。豆ができたようだ。今日はクレムスのホテルに荷物を預 けて、途中で1泊する予定。真剣に宿を探した。5時、ツウェンテンドルフのZimmer(民 宿)に転がり込む。予約していなかったが問題なし。客は私だけであった。部屋は清潔 で、バスとシャワーは共同。右足親指の爪が死に、爪の下に水膨れができていた。足 の裏には靴擦れの豆ができ悲惨な状態であった。宿で爪切りを借り、応急処置をした。
 宿泊費は朝会付きで約2,000円、夕食はビールとワインを加えて約1,000円。クレム スのホテルが朝食付きで5,500円、ウィーン市内の7、000円と比較すると驚くほど安 かった。
歩行距離 23km 歩行時間4時間30分


6月2日(日)雨
 田舎の村は静かで美しかった。
サイクリングで旅をしている何組かの人々と出会う。今日もドナウへ流れ込む支流を 迂回。昼頃、本日の目的地トゥルン駅へ到着。列車でクレムスヘ戻り、荷物をウィーン へ移動。
歩行距離15km 歩行時間3間30分

5月3日(月)快晴
列車で昨日の終着地トゥルンへ。ハマナスの花が咲くドナウ河岸を、キジやカツコウ の鳴き声を聞きながら、気持ちよく歩いた。
途中の小さな屋外レストランでビールを飲んだ。女主人にサインをお願いすると、わ ざわざ自転車で自宅へ戻り、スタンプを押してくれた。今回の旅で面白かったことは、 サインをお願いすると、皆腕まくりをするように、気合いを入れてスタンプを押し、サイ ンしてくれた。
20分程休憩し、Auf Wiedersehenと、感謝をこめて別れの挨拶を交わし、出発。化粧 柳の綿毛がフワフワと宙を舞い、ライラックの甘い香りが涛う中を歩いた。まるで時間が 止まったような感じを受け、夢心地。ただ酔っぱらっているだけか?
午後3時を過ぎると、暑さと、疲れで歩くのがいやになる。ただひたすら歩く。キーリ ング駅が今日のゴール。近くのクロスターノイブル修道院のネオゴシックの壮大な 尖塔に見取れた。マロニエの大木が満開の花房を天に突き上げて直立している様は 教会の尖塔とよく調和する。そのためかは知らないが教会にはやたらマロニエの木が 植えられている。ここから列車でウィーンへ。
歩行距離22km 歩行時間4時間


5月4日(火)晴れ 
 最終行程 いよいよ今日はウィーンの森を抜けてゴールのウィーン市内へ。
昨日の到着地点キールリングに列車で到着、Informationで情報を入手。ウイーンの 森を目指す.一汗かいてカーレンベルグ(標高483m)へ到着。ここからのウィーン市内 とドナウ河の眺めが素晴らしい。
ウィーンの森は広葉樹で、考えていたより明るい森。麓はブドウ畑が広がり、その下 のたんぽぽは既に綿毛に衣替え。クレムスの満開だったのと較べだいぶ日数が立った ように感じた。
ゴールはウィーン中央駅と決めていたので、ウィーン市内中心に近づくと頻繁に地図 読みをしたが、やはり道に迷う。うろうろしているうちにシュテファン寺院を発見、現在地点を確認。3時過ぎにウィーン中央駅に到着。
歩行距離 20km 歩行時間 4時間

5月5日(水)晴れ
予定では中村さん、加藤さんとミュンヘンで合流する日であったが、ミュンヘンの宿が 確保できないとの連絡が中村さんからあり、予定を変更、美術史博物館、王宮、シエー ンブル宮殿等ウィーン市内見物となる。

5月6日(木)晴れ 
昨日に引き続き市内見物(市立公園でヨハンシュトラウス像等)の後、郊外のべ−ト ーベンの家を見物、ホイリゲでワインと食事。
5月7日(金)晴れ
チユーリッヒ経由で成田へ。


歩き終えて
1)春の花の時期でとにかく美しかった。
2)良いコースを残していただいた先輩に感謝。たしか早川さんが歩くはずのコースで した。ありがとうございました。
3)最初の3日間はスニーカーで歩きましたが爪が死に、豆ができました。4日日から軽 登山靴にはき替え、快適でした。
4)急に歩くことになり、勉強不足を感じました。歴史とドイツ語がわかればもっと楽しか っただろうと今更ながら思っています。