第17区間;ウィーン→モションマジャロバ

          石塚正大郎(ワンゲル4期・工・機)<注;この文章は、八雲会報からの転載です。>

ユーラシアの旅、第17区間。(102km)平成10年
 今回のワンデリングでは、
@ドナウ川という切り口で見て歩く
Aベルリンの壁崩壊後の東欧の民主化を肌で感じる
を目的に出かけました。



 ウィーン、プラティスラバ、ブタペストのような大都市では、河畔は近代的に整備され、すばらしい景観となっているが、 少し町を外れると工場群を多少見かけるだけで、とうとうと流れるドナウ川を中心に自然の大きさにつつまれて生活し、 またドナウ川を生活に密着させる努力が随所に見られる。
 ここに住む人々は約600年続いた多民族国家、ハプスブルグ帝国の伝統を今も色濃く受けついでいるのか、新しいもの、 めずらしいものを受け入れる心を持っているようだ。 例えば、トルコから入ったコーヒーを全ヨーロッパに広めた話は有名である。
 ベルリンの壁崩壊後の、90年に7ケ国を旅した時は、各国とも、人出国管理、税関手続き、ホテルチェックイン等を例にとっても、いたずらに時間がかかり、マイナートラブルの連続だった記憶が残っているが、 今回はまったくのさまがわりで、日本より簡単で、ほんとうに自由になったのだなあと実感しました。

 ウィーン、プラティスラバ、ブタペストの町は明るく、されいで自由な雰囲気で、活気に満ち、 豊かな生活をしているという印象を受けました。
 ブタペスト観光をしてウィーンにもどる途中、食堂車にいて車中のパスポートコントロールを受けずにウィーンに入国してしまったが、出国の際ノートラブルでした。しかし、国道沿いの国境は畑の中の道路に面して管理事務所があるだけで、周囲は自由に出入りできそうに見えますが、監視は厳しいようです。
 スロバキアはインフレで経済的に苦しい人もいて、スロバキアからハンガリー、オーストリアヘの密出国者がいるのか、ハンガリー、オーストリア共、スロバキアの国境近くで、どこからともなく兵隊が現れてきてガンヅケされました。

 今回のワンデリングで一番ピックリしたのは、ウィーン市内からドナウ川畔に達したとき、まず、仏塔が目に飛び込んできて、福永行精住職に出会ったことです。
16年間、仏教の布教と仏塔の管理をなさっており、その問、日本からの旅行者に会ったのは初めてと」大変なつかしがり、日本茶とお菓子でもてなしてくれ、日本に関する話から、旅のアドバイスも受けました。
宿を探すには、町に入ったらGASTHAUSに入り、"Zinmer"と言えば民宿を教えてくれるという言葉を信じて、全行程予約なしで過ごしましたが、ノートラブルでした。今回はウィーン出発が日曜日でインフォメーションが休みのため、何の情報も得ないで歩き出したので、住職に会えたのは大変な幸運でした。
仏様に合掌。

 人それぞれに、ある人はひたむきに、またある人はのんびりと、ヨーロッパを着実に東へ歩を進めています。ユーラシアの旅はまだまだ続く。