第12区間;モースブルグ〜フィルスホーヘン
      宇賀村 充和(9期)・朝子    '99 6 30〜7 10   93Km
今回は航空券だけを持って行く。その場その場で考えて旅をする偶然性がちょっと したスリルとなる。
それとドイツという安全な場所故、それほど注意せずにすむのがうれしかった。 また、人が敵対的でなく、気持ちが和むのも再度訪れた理由の一つである。

6月30日 小雨、 成田〜MOOSBURG 4,600 歩   「駅前旅籠」
6:11 家を出発。小雨。しかし、九州は豪雨とのTV。何時もながらの不完全な 準備と、やるべき事を振り切っての出発である。 電車から見る横浜、東京は豪雨。千葉、成田と小雨になり、先行き明るい。 長時間閉じ込められる飛行機にはうんざりするのだが、今回はすんなり来た感じ。 30分遅れでウィーン空港着。
国内便に乗り換えのチェックインは並んで散々待ったあげく、B33ゲートへ直接 行けとのこと。どうもオーストリアは印象が悪い。 ミュンヘンへの小型機は乗り込むとすぐ離陸。すぐ食事がでる。ブロイラーは出された食べ物は拒否 しない。
18:05ミュンヘン着。ドイツへ着いた。マルクへの両替、地図の購入、トイレ。 準備はできた。タクシーでスタートのMOOSBURGへ。
20分でDB(Deutsche Bahn)のBahnhofへ。何かさびしい駅。キオスクを確認し、 中村さんがおすすめの駅前HOTELへ。1階の中華レストランで宿泊の申し込み。オ ーナー兼管理人が2階の端部屋から出てきて、翌朝キーを玄関の郵便受けに入れておけば良いとの事。 宿泊のみで二人で85DM(5,720)。
サッカーグラウンドの向うの教会から鐘の音が響き、一日目の夜となった。

7月1日 曇り MOOSBURG〜LANDSHUT 46,000 歩 / 32.2 Km「河の宿」
12時,3時と目が覚める。耐え切れず5時に起きる。6:15出発。駅のKIOSKに行き、中村・佐藤さん達がサインを貰った元気なおばさんに会いに行く。
が交代日でいない。サインを貰い、Moosburgの1/8,000の地図を買う。一軒毎 の家が出ている地図は、町を抜けるのに何の心配も要らない。 パン屋で昼飯を調達。持参の魔法瓶にジュースを移し、瓶を戻すと30ペニヒ返してくれた。 環境先進国ドイツに早く見習って欲しいものと、ひとしきりおしゃべり。

イザール川沿いに歩き出す。サイクリングと犬の散歩の人が多い。おじさんに道 を聞くと、親切にドイツ語で説明してくれた。でも何となく判るところが、何とも言えず楽しい。国道を歩かねばならぬので、畑の側道を行く。薮蚊とブヨが多く閉口した。昨夜の雨で湿った泥道は滑り、Landshutの町に入る頃には結構疲れた。妻いわく、2年前とは違い年を取ったという。
スポーツ施設の間の小道を抜けてワンパターンのBahnhofへ向かう。KIOSKで地図を買い、 中心地区を教えてもらう。約1.5Km戻らねばならぬ。げんなりして駅を出ると 「Altstadt」行のバスが止まっている。5駅2DMで20分をセーブ。歩いたところに4分位で着く。バス停の地図でインフォーメーションを探し、直行す。近く でTWINで150DMのHOTELを頼むと、2件をリコメンド。川辺の Gasthofにし、予約を頼むと直接行くよう言われる。 ただで済んだが、何かあった模様。なんせドイツ語はチンプンカンプン。 Dankeschon で出てしまう。GasthofはGood。
荷物を置き、郵便局の場所を聞いて、出かける。絵葉書を出し、隣のドイツテレコ ムへ。インターネットをやりたいのだが 接続できないかと聞くと「Tポイント」(≒ドコモショップ)へ行くように言われ る。店は携帯電話やFAX、コンピュータ 関連の機器が陳列されている。説明するとテーブルの下のパソコンについているケ ーブルをはずして渡される。

ミュンヘンのアクセスポイントを呼び出すと、接続しパスワードも通るがコンピュ ータが応答しない。あきらめて、明日 の朝に買うパン屋を確認して、宿に戻る。町は歩道が広く、落ち着いた感じの良い 町だった。

7月2日 晴時々曇 LANDSHUT〜DINGOLFING 50,400 歩 / 35.3 Km   「娘さんの宿」
まだ、朝早く目覚める。約束の7時に朝食。チェックアウトしサインを貰うと肩 をすくめ、「なんてこった」とのしぐさ。趣味ですから。
パン屋への路地で犬の散歩のおじいさんと話す。何の交通手段で行 くのかと、くどくど言う。歩くなんて 頭に入らぬみたい。納得させられぬまま分れる。サンドイッチを買って町を抜ける 。昨日、1/25,000の地図を買ったの で町中も問題ない。道は大きな並木で歩きやすい。疲れが出てきたので、ベンチで 話をしているおじいさん達に道を 聞く。工程を短縮する時の為に、DBの一駅手前のGasthofの場所を教えて もらい、サインを貰う。

変電所で道が通り抜けられない。フェンスに沿って回る。横に出た通り抜け防止 柵を、手を伸ばしその外を越える。 疲れがどっと出て、一駅手前のGasthofに方向転換。途中の村のスーパーで定番 のアイス&スプライトで疲れを取る。 陽射しがきつい。駅は一段と閑散としている。時刻表がないので、駅員風のおばさ んに聞くと列車は止まらないとの事。 陽射しもう駄目だ。駅前にあるGasthofで泊まろう。一階のレストランで声 をかけるも人気がない。妻が隣の肉屋に 聞きに行くが、何か分からないと帰ってくる。まあゆっくり待とう。椅子に腰掛け ていると、さっきの肉屋の売り子が中から出てきた。どうもGasthofはやっていないという事らしい。バスがあ るが一時間以上待たねばならぬ。4Km余り 頑張ろうと、店を出る。途中のGasthofで聞くも、宿はやっていない。二人とも無口 になって、黙々と進む。

DINGOLFINGのBahnhofに着くも閑散としており、DOWN TOWN でな い事は一目瞭然。いる人にHOTELの 場所を聞くも、良く知らないとの事。検討をつけて歩く。途中,おじさんにHOTELを 聞く。案内してくれる様で歩き出す。 途中で迎えの車が来たら、あっちの方向だと指差して車で行ってしまう。 キョロキョロして見ていると、「HOTEL&RESUTORANT」の字が見えたの で入る。疲れた。HOTELの隣のビアー ガーデンで客が盛り上がっているが、疲れていて気にならない。

7月3日 晴、DINGOLFING〜LANNDAU 43000 歩 / 30.1 Km   「坂の宿」
5:30起床。昨日で疲れたという妻の希望で、HOTEL2泊の片道DB利用形式で 歩く事にする。まずは今日の 目的地へDBで行く。地図を見ながらDOWN TOWNに向かう。町の人にGasthofの場所 を聞く。2泊の予約と荷を 預けて、もと来た町のDINGOLFINGに向かって歩く。
雲一つない快晴で暑 い。陽射しを避けて橋を渡り左岸の道を 取るが、今までの木陰の道はない。人にもまったく会わない。乗馬のねーちゃんに だけ会った。馬も楽でないと 同情する。木陰を探し、昼とする。昼寝でも楽しみたい涼しさ。
それではと県道に出て木陰を期待するがここもない。まったく暑い。焼けたアスファルトの照り返しで、頭にくる 暑さ。でも第二の希望のガソリンスタンドのスーパーがあり、定番のアイスとスプライ トで一息。目指す町の教会も 見えてきた。県道を外れ、畑の中の道を進む。途中結婚式の馬車のおじさん達に Bahnhofへの道を聞く。早口の ドイツ語は分からないが、大体雰囲気で分かる。礼を言い進む。途中馬車が追い越 して行く。大声と態度で駅の 方向を教えてくれる。気持ちが良い。DBでLANDAUへ戻る。LANDAUの駅から Gasthofまでの15分余りが長く 感じられるほど今日は疲れた。ビールが美味かった。8種類のうち4種類を飲む。残 りは明日だ。

7月4日 快晴、LANDAU〜PLATTLING 41,700 歩 / 29.2 Km   「坂の宿」
5:20起床。やっと時差も取れてきた感じで眠れ、疲れも取れる。アルファ米 で昼のおにぎりを作り、余裕の 時間で昨日の記録をつける。7:00一階のレストランへ下りて行き我々だけに準 備された朝食をとる。
イザール川に架かる橋の手前から川に沿って歩く。今日の道は木立に囲まれ涼し く快適である。柳の綿毛に 似たものが飛び交う小道を快適に歩く。日曜日のせいか釣り人とサイクリングの人 が多い。会う人毎に挨拶を 交わしながら歩く。心和む時である。
後半は木立がなく、暑い道を傘をさしてひたすら歩く。ただ目的地に着くためだ けに。 思ったより早く着いたので、町を偵察。明日からはここをベースに歩く事とする 。DOWN TOWNのしゃれた Gasthofは15:00以降は管理人がいない。やもうえず駅前のGasthofにする。お ばさんだけしかいず、メモで 明日から2泊を申し込む。ほっとしたら疲れが出てきた。DBでLANDAUの「坂の宿 」(今回つけた宿の名)へ 戻り、残りのビールを飲もう。宿ではメニューの解説に、隣の席にいた客の高校生 が英語で助けてくれ、 おかげで希望に添ったものが食べられた。

7月5日 快晴、PLATTLING〜OSTERHOFEN 36,900 歩 / 25.8 Km   「駅前HOTEL」
5:00起床。6:25のZUGに乗る為、6:00に朝食をとらずに宿を出る 。安心か暑さのせいか、駅への道を 間違え乗れず7:01でPLATTLINGに向かう。昨日予約した、駅前HOTELに荷を預け 出発。町はずれのパン屋で 昼飯と水を調達。
歩道のない国道を傘をさして歩くのは、スピードを出した車が通るので危ない 。少々遠周りだが村々を 回る道をいく。トイレも何処にでもある。ちゃんと見張っていないとかみさんが怒 るが、誰も来ない。
通りぬける村々は静かで、時折人とあえば挨拶を交わす「Grus gott」。目的の OSTERHOFENへは 早く着いたので、村を一回りして駅へ。駅前にスーパーがあり定番セットを買う。冷房 してない暑いスーパーを出て、 風が通るホームでゆっくり味わう。美味い。夏の昼はこれに限る。一日の歩みも DBは10分で戻る。シャワーを あびて一眠り。妻は洗濯に余念がない。膝が痛む。疲れが出たか。夜は定番の4種の ビールでしめた。

7月6日 曇、OSTERHOFEN〜FILSFOHEN 41,000 歩 / 28.7 Km   「駅前HOTEL」
5:30起床、慣れてきて準備も早い。6:40朝食。駅前HOTELのせいか、仕 事に出る人が入れ替わり朝食を取る。 8:00のDBで昨日のOSTERHOFEN駅に向かう。4.6DM(310円 )の一駅分しか持っていないので、検札の車掌 が怪訝な顔。ドイツ人でないのに安い切符であるからだろう。駅に降りたのは我 々だけ。昨日のスーパーはまだ開店前。
地図を慎重に見ながら村をぬける。曇空で風もあり歩きやすい。DBの線路沿いの 道をひたすら歩く。行き交う列車の うち、客車は空で貨物車両は長い。前も後ろも人はいない。野うさぎや雉を驚ろか せながら、麦畑、トウモロコシ畑、 甜菜糖畑を見ながら行く。途中で国道B8に出る。思惑どおりスーパーがあり、定番商 品で疲れをとる。アイスをかじり ながら歩く二人ずれを、高校生や井戸端会議のおばさんが変な顔して見ている。村 外れで一休みをし、また畑の中の 道を行く。PLEINTINGの村ではきれいなGasthofがあり、教会も立派で村を一回りす る。あと6Km。ドナウ川沿いは 旧道を歩く。 左膝が痛み、曲げられない。ペースを落とし、周囲の景色を楽しみな がら行く。

DBの線路を潜りぬけると目的地のFILSHOHENだ。町は思ったより大きく、きれい だ。ドナウの川沿いは昔栄えた 面影が残っている。フィルス川を渡るとすぐ肌色の煉瓦のFILSHOFEN駅だった。今回 のWALKINGはこれでお終い。
駅の校内に一人でいた若い娘にサインを貰い、目的は達した。 時間が早いので二駅先のPASSAUに見物に行く。オーストリア側のドイツ国境の町 に興味があり、通る時はぜひ 寄ってみたかった。インフォメーションで町の地図を貰い、ドナウとイン川に挟ま れた洲を一周する事にする。
町は川を行き交う船から通行税を取った城があり、教会も大きく要衝の地をうかがわせ る。ダウンタウンを抜けてDBの 駅に戻る。PLATTLINGの駅前HOTELで昨日の残りの種類のビールを飲んだ。

以下は番外編
7月7日 快晴、曇時々雨、 FILSHOFEN〜WIEN   「小ペンション」
5:30起床。疲れもたまり目も覚めない。大方のパッキングを済ませ、朝食に 行く。終わったという安堵感と何とない寂しさがある。
駅までの周りの景色をキョロキョロと見て、目に入れてみる 。切符はPLATTLING/PASSAUが 二人で29.6DM、PASSAU/WIEN間が87.6DM。国が変わるので分割したのか 。PLATTLING8:00で8:35に PASSAUに着く。9:30発でヴェルスに10:53着。車内で教えてくれた、1番 線の案内は11:30発の各駅列車に なっている。駅のTVで我々の列車を確認すると3番線に変わっている。慌ててホ ームに行くと定刻に入線。なかなか 良い列車で6人部屋のコンパートメントをWIENまで独占し、約2時間半を過ごす 。妻が食堂車で買ってきたコーヒー とサンドイッチで昼飯とす。外は時折雨だがとりあえず関係ない。
WIEN駅は思ったより雑然としている。まずは小銭を作り、電話でガイドブックに あった宿を予約。それから明日の 一日観光を予約する。行ってみたかったWACHAU渓谷の日本語ガイド付きにする。地 下鉄でシュテファン寺院まで 行き、大勢の人が行き交う中をぶらぶらと宿へ行く。小さいがバスタブもあり、妻 は気にいった様だ。まだ早いので、 まずシュテファン寺院の北塔に上がる。WIENの町を一望とまで行かないが、屋根は 見えた。路上のテントの下で ウィンナーコーヒーとケーキを取り一休み。かみさんはご機嫌。まだ早いのでぶら ついてから、ビール工場の 直営レストランに入る。生ビールは美味い感じがする。黒ビールをあまり泡立てず についで飲んでいたら、もっと 泡立てろと行動で示して瓶を代えてくれた。好き好きなんだけど、新しい瓶が来た のでラッキー。今夜も4種の ビールで締めくくる。

7月8日 雨時々曇り、WIEN〜WACHAU   「小ペンション」
6:00起床。食後ペンションを早々に出る。お愛敬に地下鉄の方向を間違えて から、オペラ座の集合場所に着く。
雨が時折激しく降りあまり良くはないが、歩くわけではない。 ガイドの軽快な説明を聞きながら、高速道路を西へ進む。メルクの修道院は入場 者を制限している為か快適に 見れた。広大な修道院の中でまったくここの人に会わないのは、何か不自然に気も する。昼食はしゃれたレストラン でビールを頂く。
期待のWACHAU渓谷下りはMS Austriaというきれいな船。1:15間の川下りは期 待したほどでなく、DURNSTEIN に着く。またバスでオペラ座にもっどた時は大雨で、その挙げ句方向を間違えた 。私の方向感覚もあまりあてにできない。
ビールの有りそうな店で晩飯をとる。今夜もおいしく4種のビールをたのしむ 。宿に戻りシャワーを浴びると かみさんが風呂に入っているうちに寝入ってた。疲れていたんだ。

7月9日 曇、WIEN〜成田
6:00起床。同じ所で2日目になると、何を食べるのが良いか分かる。おいし いものはなくなるので早めに取る。
チェックアウトし、空港に向かう。中央駅で時間潰しにスーパーに入る。土地に人の生 活の感じがして面白い。
早すぎて待たされたが、席は非常口のところで足が伸ばせて良かった。帰りものん びりと出来、長い間飛行機に 閉じ込められる感じを持たず帰れた。何はともあれ、よくビールを飲んだものだ 。GOOD。